「バス運転手になりたいけれど、大型二種免許を持っていない」。そこで止まっている人も、養成求人を使って大型二種を取得する道があります。ただし、取得期間、会社負担の範囲、貸付・返済条件、乗務開始までの研修は会社ごとに違います。この記事では、必要免許・養成制度・路線と観光と高速の違い・最新の公的賃金統計・契約確認の順に整理します。
この記事でわかること:
- バス運転手になるルートの全体像(必要免許・養成制度・職種・年収)
- 路線・観光・高速の働き方の違いと、選び方の判断軸
- 大型二種免許の取り方と、公的統計で見る年収の目安
バス運転手のなり方の全体像|免許・養成制度・職種・年収の早見表
先に全体像を早見表で示します。バス運転手になる道は、「免許をどう取るか」と「どの職種を選ぶか」の2つで決まります(2026年7月時点)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必要免許 | 大型自動車第二種免許(人を乗せて運賃をもらう運転に必須) |
| 未経験ルート | 養成求人へ応募→大型二種取得→会社ごとの社内研修→乗務判定後にデビュー |
| 職種 | 路線(日勤中心・安定)/観光(長距離・宿泊あり)/高速(長距離・夜行あり) |
| 年収の目安 | 令和7年賃金構造基本統計調査から年収換算約450万円 |
ポイントは3つです。第一に、大型二種を持っていない人向けの養成求人があります。ただし、費用が会社負担か貸付か、返済免除条件があるか、教習中に賃金が出るかは会社ごとに違います。第二に、目指す職種で働き方が大きく変わります。生活リズムを優先するなら路線、長距離運行を希望するなら観光・高速も含めて考えます。第三に、収入は職種・経験・地域で幅があるため、統計平均と応募先の初任給を分けて見ます。
以降で、免許から順に見ていきます。バス以外の送迎の仕事と比べたい人は送迎ドライバーの仕事内容もあわせて読むと、二種が要る仕事と要らない仕事の違いがわかります。
必要な免許|大型自動車第二種免許と受験資格
バスで乗客を運び、運賃をもらう運転には大型自動車第二種免許が必要です。第二種は「人を乗せて運ぶ」ための免許で、第一種(自分や荷物を運ぶ)より試験の基準が厳しくなります。乗客の安全に直接責任を負うためです。
受験資格の原則は次のとおりです(2026年7月時点)。
| 区分 | 要件 |
|---|---|
| 原則 | 21歳以上+普通免許等の保有が通算3年以上 |
| 特例 | 受験資格特例教習の修了で19歳以上・保有1年以上 |
特例は2022年施行の改正で導入された制度で、若い人が早くプロドライバーを目指せるようになりました。ただし特例で取得した場合は、本来の年齢に達するまで若年運転者期間としての特別なルールが適用されます。保有期間は「通算」で、免許停止期間は除かれます。自分の要件が微妙な場合は、運転免許試験場で確認してください。学科・技能の全体像は大型免許に学科試験はある?の考え方が参考になります(二種は一種より基準が厳しい点に注意)。
普通免許しか持っていなくても、この受験資格を満たしていれば大型二種に進めます。問題は費用と教習時間ですが、そこを解決するのが次の養成制度です。
養成制度とは|未経験から大型二種の取得支援を受ける
未経験からバス運転手になる人の多くが使うのが**養成制度(大型二種免許取得支援制度)**です。仕組みはこうです。
- バス会社の養成求人に応募し、採用される
- 会社が費用を負担(貸与)する形で、教習所で大型二種免許を取得する
- 免許取得後、社内研修(路線の習熟・接客・安全)を受ける
- 一人立ちして乗務を開始する
デビューまでの期間は、所持免許、教習所の予約、試験日程、会社の研修・乗務判定によって変わるため、一律の目安は置けません。教習期間中の雇用・賃金の扱いも会社ごとに異なります。応募先ごとに、入社日、教習開始日、免許取得後の研修項目、単独乗務の判定基準を確認してください。
ただし、養成制度の返済条項を「貸与契約だから常に有効」とは判断できません。厚生労働省の資格取得費用の返還に関するQ&Aは、一定期間内の退職時に費用を返させる定めが、労働基準法16条の損害賠償予定の禁止に当たる可能性を示しています。一方、労働契約と独立した純粋な貸付で、一定期間勤務した場合だけ返済を免除する契約と認められれば、直ちに同条違反とは限りません。
判断では、免許取得が業務命令か本人の自由意思か、費用が会社の事業経費か、貸付額と返済方法が明確か、退職を不当に妨げる設計かなどが見られます。応募前に、会社負担か貸付か、返済免除条件、途中退職時の残額と計算方法、給与天引きの有無を書面で確認してください。疑問が残る契約はその場で署名せず、都道府県労働局の総合労働相談コーナー等へ相談します。
路線・観光・高速の違い|働き方と生活で選ぶ
バス運転手といっても、職種で働き方はかなり違います。生活の優先順位で選ぶのがコツです。
| 職種 | 働き方の特徴 |
|---|---|
| 路線バス | 決まった路線・ダイヤ。日勤中心の会社が多く生活リズムが安定。乗降対応と定時運行の緊張 |
| 観光バス | 貸切での長距離・宿泊を伴う運行。繁忙期は拘束が長く、収入が上がることも |
| 高速バス | 都市間の長距離。夜行便があり、夜間の運行と睡眠管理が課題 |
路線バスは、地域の足として決まったダイヤを走ります。日勤中心の会社が多く、家庭の時間を確保しやすいのが利点です。一方で、乗降のたびの安全確認、定時運行のプレッシャー、乗客対応の負荷があります。未経験からはここで始める人が多いです。
観光バスは、貸切で観光地や旅行に同行します。長距離や宿泊を伴う運行があり、繁忙期(行楽シーズン)は忙しくなります。接客の比重が高く、乗客との距離が近い仕事です。
高速バスは都市間輸送で、夜行便があります。長時間の連続運転を安全に行う集中力と、昼夜が入れ替わる生活での睡眠管理が課題になります。どの職種も、改善基準告示(バス運転者の拘束時間・休息期間のルール)の範囲で運行されます。安全と休息は制度で守られていますが、生活リズムへの影響は職種で差が出ます。「収入が高い=良い」ではなく、続けられる生活かで選んでください。
バス運転手の給料|公的統計で見る年収の目安
収入は気になるところですが、まず公的な数字を押さえましょう。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査・職種別第3表では、企業規模10人以上・男女計・役職者を除くバス運転者の「きまって支給する現金給与額」は月32万6,500円、年間賞与等は58万3,600円です。12か月分を合算した年収換算は約450万円です。
この値は当メディアが月例給与12か月分と年間賞与等を合算したもので、統計表に「年収」という列があるわけではありません。また、路線・観光・高速バス別、未経験初年度別の数字でもありません。
この数字を読むときの注意点が2つあります。
第一に、平均年齢が高い業界だということです。統計上の平均年収は、経験の長いベテランを含んだ数字です。未経験で入った直後の年収はこれより低いのが普通で、経験・勤続とともに上がっていきます。求人の初任給と平均年収を混同しないようにしてください。
第二に、職種・地域・手当で差が出ることです。観光・高速は長距離手当などで収入が上がることがある一方、繁忙期の拘束と引き換えです。路線は安定するぶん、突出した高収入にはなりにくい傾向があります。求人の「月収例◯◯万円」を見るときは、その前提(勤務時間・残業・手当の内訳)まで確認して比べてください。特定の会社の金額をうのみにせず、統計の水準を基準に判断するのが安全です。職種ごとの収入差の考え方はドライバーの給料が高い職種はどれかの視点も応用できます。